株式会社イノダコーヒ 代表取締役社長 前田 利宜 氏 インタビュー
2020年にイノダコーヒの代表取締役社長に就任し、個人経営から集団経営への変革を担った前田利宜社長。 創業以来80年以上続く京都老舗喫茶店のブランドを守りながら、組織・人材・ECの改革を進めた歩みと、 アント・キャピタル・パートナーズを選んだ理由を率直に語っていただきました。
そもそもなぜファンドと組もうとお考えになったのですか?
私は創業者猪田七郎氏のご子息である猪田浩史会長(当時)にお誘いいただき2020年にイノダコーヒの社長に就任したのですが、事業承継としてはそこが起点です。歴史のあるイノダコーヒですが、外から見えるものと中から見えるものには違いがあり、いざ中に入ってみると改善すべき点が色々とあることがわかりました。
私は二段階で事業承継するのがいいと考えていました。イノダコーヒは組織体制、評価体制、賃金などで改善の余地があり、それまでの個人経営から集団経営にしなければなりませんでした。そこで、まずファンドが持っているノウハウを移植したいと考えました。最初はファンド、それで体制をしっかり整えてから事業会社に末永く持ってもらうのがいいと考えました。
他のファンドからも打診があった中で、なぜアントを選ばれたのでしょうか?
他のファンドも含め色々な方とお会いしましたが、他のファンドは業績向上に関する議論にフォーカスするところばかりでした。イノダコーヒの持つ長所の一つは、お客様をいらっしゃいませからお席に案内し、常連のお客様の名前も覚え、時には雑談もするというフルサービスにあります。一方で、短所、課題は人事制度や組織。アントの方々とは、イノダコーヒについて課題に思っているポイント、長所短所のとらえ方が一致していました。
私は会社を骨太にし、オーナー会社から集団経営にして、事業会社に引き継ぐということを考えていたのですが、それを理解してくれたのがアントでした。アントの方々と時には酒を酌み交わしながら話すうちに、この人たちとなら一緒にできると確信しました。伴走する姿勢がはっきりと見えたのが大きいです。
アントのメンバーと実際に働いてみていかがでしたか?
意外だったのは、アントの方々はイノダコーヒの社員と同じ目線で、一緒になって店頭に立ち、厨房に入り、現場の人と酒を飲み、催事も手伝う。その姿勢には他の幹部社員も驚いていました。最初はファンドというとハゲタカかという警戒感もあったのですが、アントの方々はイノダコーヒの社員と一緒になって働くことで信頼を勝ち得ていきました。
助けが必要な場面ではアントの方は電話一本で東京から京都に飛んできて、夜中まで一緒に作業して乗り切るといったこともありました。時には私がアクセルを踏んでいる上からアクセルを踏まれるような感じできつい面もありましたが、おかげで自走できるようになりました。
事業会社の傘下に入りました。今後の抱負について教えてください。
キーコーヒーからは、口出ししないので好きに経営してくれと言われています。イノダコーヒの伝統って何かというと、これまでみんなで必死にやってきたことが、結果的に歴史になったということです。今後は、リニューアルした三条店や、もしかしたら海外展開が新しい歴史になっていくのかも知れません。
何を実現したいかという考えを明確に持ちながら、ファンドとは違う長い時間軸の中で、じっくりと事業を伸ばしていきたいと思います。